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インターネットの普及により、補聴器販売店に行く前にご自身で製品情報を調べ、直接メーカーに問合せをされる方が増えました。私たちのチームはお客様からのご相談窓口として、様々なお問い合わせに対応しています。補聴器のことを調べれば調べるほど答えが見つからなくなることや、その方が本当に求めている情報が、必ずしもご質問の中にあるわけではないこともあり、問合せ対応にもカウンセリング技術が求められています。
オーティコン本社のあるデンマークには難聴の方向けのカウンセリングに特化した研究機関「イーダ研究所」があります。そこで大切にされているのが「パー ソンセンター ドケア」、つまり「ユーザー中心主義」です。ここでの知見を活かして、私たちは日ごろお客様からいただ<ご相談に対しても、一方的に情報を提供するのではなく、その方が何を求め、何に悩まれているのか、ことばの内に秘められたストーリーを確認することに最も時間と神経を使っています。お客様の不安に寄り添い、解決策を一緒に見つける一それが私たちにできることです。
聞こえに悩む方たちにとって必要な音は聞きたい「音声」だけではありません。周囲360゜ の音の情景を届けることーオーティコンは「これでいい」と妥協することなく、あらゆる基礎研究を通じ製品開発を行っています。それは全てお客様の聞こえをサポートするためです。このことが実を結び、お喜びの声をお寄せいただく時、やりがいと共に、聞こえに悩む多くの方にもっとこの相談窓口を使っていただきたいと感じます。
難聴による制限のない生活のために、もし聞こえについで悩まれたら、電話やメールでお話をお聞かせください。
ヘルペスウイルスが原因で要介護度5の判定を受けて以来、 現在の老人ホームでお世話になっています。初めは食事もとれませんでしたが、励ましてくださる介護スタッフの皆さんや主治医の先生のおかげで要支援1にまで改善。3年経ったいまは、 自分で買い物や図書館に行く楽しみもできました。
ただ、 ヘルペスによって右耳の聴力を失い、 残った左耳も加齢で聴力が低下してしまいました。食事やお茶、 リハビリ体操などお友達とおしゃべりする時間が楽しみなのに、 よく聞こえないので適当にお返事したりして…。きっととんちんかんな会話をしていただろうと思います。
施設内で補聴器を使っている方からお話を伺ううちに、 補聴器に興味が湧きました。私はもともと “新しもの好き”。60代のころから娘たちの特訓を受けてパソコンを使い、今はiPadが手放せません。販売店で見せていただいた初めての補聴器の小ささには驚き、 ワクワクしました。使い始めると、車の多い通りでも娘の声がはっきり聞こえるのが嬉しかったですね。定期的に調整に通ったおかげか、 補聴器の音にわずらわしさを感じることもなく、お友達や介護スタッフさんのお話にもちゃんとお返事ができて幸せな気分でした。 ヘルペスの後遺症か、 目の奥か ら頭にかけてもやもやした感じがあったのですが、 補聴器をつけると音がきちんと入ってくるからか、頭がすっきりし、回転しはじめた感じがしました。
ところが、 使い始めて半年ほどたっ たころ、大切な補聴器を散歩中に落としてしまいました。販売店で「紛失を防ぐには正しくきちんとつけることが 大切」と教えていただき、店長さんか らもう一度正しい装用の仕方を指導していただいて2台目を購入しました。 補聴器は専門家にきちんと調整してい ただくことと、 正しく装用することが とても大事だと知りました。
今は新型コロナウイルスのため、家族との面会も制限されています。娘たちともなかなか会えませんが、 iPadを使い、週末にオンラインでおしゃべりをするのが楽しみです。 どんな状況でも楽しめることを見 つけられるもの。今度は好きなクラシック音楽を楽しむのに適した調整をしていただけないか、販売店 で相談してみたいと思っています。 (2020年9月取材)
私が働くオーダーマネジメント部は、 お客様の耳の形 に合わせて製造する耳あな型補聴器や、 補聴器の装用を安定させるイヤモールドなどオーダーメイド製品のほ か、 耳かけ型補聴器やアクセサリーなどを販売店の皆 さまから受注しています。私の専門は、 オーダーメイド製品についてのご相談をお受けすること。耳の穴の形は千差万別で、 左右でも異なります。小さな車に大型 のエンジンを搭載することが難しいように、 お客様の ご要望通りの機能を埋め込むことが難しい場合も。販売店の方からいただいた注文書と、お客様の耳型のデータを見て、 ご希望通り実現できるかを判断し、できる だけご希望に寄り添った対応策を考え、 販売店の方と調整しています。お客様や販売店の方に「ぴったりだっ た」とご満足いただけた時、やりがいを感じます。
補聴器はアナログからデジタルヘと技術進化を遂げ、オーダーメイドも手作業から3Dプリンタに変わり、より 速く正確なものができるようになりました。しかし、 ま だまだ補聴器ユーザーの皆様のニーズに十分にお応え できているとは思いません。変化、 進化の余地がある からこそ面白い仕事だと思うのです。
最近、 ワイヤレスイヤホンの流行からか、 お客 様から「見せる補聴器がほしい、 アクセサリ ー としてもつけたい」というお声をよく聞きます。 今年10月に発売しました耳あな型補聴器の新色フェースプレート、ダー クブラウンもそんなニーズに応え、 当部門で企画し製品化した日本限定 色です。 当社の国内ラボは、 熟練のスタッフがお客様の装用しやすさを考え、 ラッカーコ ーテイングの美しさから削り具合にいたるまで、 丁寧 な手作業を行う ‘‘ クラフトマンシップ’'が特長です。 これからも、一人でも多くのお客様のニー ズに寄り添い、 高品質な製品をお届けしたいと 思います。
(プロダクションサービス部 部長 稲垣貴之)