受講をお考えの方に向けて
オーティコン・アカデミーのコース開設にあたり、ご挨拶申し上げます。
皆様ご存じのように、日本においては、聴覚学を体系的に学習する機会が限られております。特に、言語聴覚士は「発声発語、嚥下、言語、聴覚に障害を持つ方々に対するケア」のプロフェッショナルであるはずですが、免許取得後の就職先で聴覚障害に関わる業務は皆無という方々は少なくありません。言語聴覚士の約8割が成人の言語障害、発声発語障害、摂食嚥下障害に携わっている現状からすると、この現象は理解に難くありません。
しかしながら、日本のような超高齢化社会においては、どんな疾患があろうとなかろうと、加齢による難聴からは誰も逃れることはできません。難聴に起因する孤立感は周知のことと思いますが、家族でさえも「聞こえにくさ」に関する理解が乏しいために、益々、難聴者を精神的に追いやってしまいがちです。難聴者に対して、認知症とかうつ病とかのレッテルを貼ったりすることも、頻回に見聞きすることです。近年は適切な聴覚補償・管理が認知症回避につながるという研究も散見するようになりました。しかし、単に補聴器を装用したからと言って明確に聞こえるわけではなく、本人の聴力や聴覚機能にあわせた補聴器の選択・適合およびリハビリテーションが必要です。まさに、オーティコン・アカデミーの根本理念である、「BrainHearing(ブレインヒアリング)と考えます。それらの専門的知識・技能を難聴者に提供してこそ、「ことばときこえのプロフェッショナル」と言えるのではないでしょうか?
言語聴覚士のみならず、本コースは補聴器販売会社に勤めておられる方々にとっても、言語聴覚士を目指す学生にとっても有用と考えます。体系的に勉強したいけど「補聴器のことは知っている」とか「面倒くさい」などと考えていませんか?医療の進歩同様に、補聴機器の進歩も目覚ましいものがあります。本コースは、基礎から応用編まで用意されており、聴覚学の基礎に始まり最新の補聴テクノロジーについてもわかりやすく設定されております。オンラインコースですから、ご自身のスケジュールにあわせて何度でも繰り返し受講することができ、知識を確たるものにするには適していると考えます。
難聴者にとって「ライフチェンジングテクノロジー」とするには、きこえに携わるプロフェッショナルによる適切な介入が必須です。聴覚障害を持つ方々の社会参加を促すために、専門的に学ぶコースをご用意いただき、関係者の皆さま方には深く御礼を申し上げます。
国際医療福祉大学大学院
副大学院長、保健医療学専攻主任
教授 城間 将江