ブレインヒアリング

世界アルツハイマー月間に際し、聞こえのヘルスケアの重要性を考える

25/09/18

新たな研究により聴力低下が認知症につながるリスクの一つであることが実証される

デンマーク、コペンハーゲン、 2018年9月21日 –世界アルツハイマーデーに際して補聴器メーカーである、 オーティコンは、適切な聴覚ケアを行うことによって認知症早期発症のリスクが低減できる可能性についてその根拠の説明と聴覚ケアの重要性に関する表明を行いました。国際アルツハイマー協会(ADI)と世界保健機構(WHO)は毎年9月21日を「国際アルツハイマーデー」、そして2012年からは毎年9月を「世界アルツハイマー月間」と定め、世界各地でアルツハイマー認知症への正しい理解と意識の向上を促す啓蒙活動が行われています。

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かねてから難聴と認知症とは関連性があることが示唆されており、近年2つの国際的な研究によってその関連性が実証されました。これらの研究が示した結果は、積極的な補聴器の装用が、コミュニケーションにおける問題を軽減するとともに社会との関わりを促進し、認知機能の低下を遅らせる可能性があるとする理論を裏付けるものでした。

国際アルツハイマー協会によると、世界では5,000万人に迫る人々が認知症の問題を抱えているとされています。この問題に対し国際的な専門家メンバーによって構成された、認知症予防、介入およびケアに関するランセット委員会(Lancet Commissions on Dementia Prevention, Intervention and Care:以下ランセット委員会)は、 認知症の発症につながる年齢に関連した9つのリスク要因を挙げるとともにその上で、認知症症例のうち3件に1件が、年齢に応じたリスク要因を排除することで認知症を遅延または予防する可能性があるとしています。中高年齢層における聴力低下への早期の適切な対処、また65歳以上の人々についても喫煙を減らすこと、うつ病、糖尿病、肥満を防ぐことなども認知症を予防するための重要な要素となり得るとしています。

ランセット委員会の報告による年齢に関連した9つのリスク要因

  • 最長15歳までの幼児期の教育レベル
  • 45~65歳:高血圧、肥満及び難聴
  • 65歳以上:喫煙、うつ症状、運動不足、社会的孤立、糖尿病

 

難聴を放置しておくことと認知症との関連性については、フランスのボルドー⼤学で神経⼼理学および加齢疫学の研究を率いるエレナ・アミーバ教授により脳の⽼化を研究するために用いられたコホート研究報告、本年発表された更なる詳細研究によっても実証されています。この研究では高齢者での聞こえと身体的な障害、認知症、抑うつのリスクとの強い関連性が確認されています 。聴覚の問題が健康におよぼす影響に注目したこの25年間の研究では 難聴を放置しておくことが認知症の発症リスクを21%増加させうる可能性があると結論付けています。

私たちの多くは聞くという聴覚の働きを耳と関連付けて考えますが、実際には音の意味を捉える働きは脳によって可能になります。耳を通じて届いた音響情報を、脳は記憶や経験といった情報と照らし合わせて意味のある音へ変換していきます。しかしながら難聴を抱えていると、特に大勢の人が話している環境や様々な騒音が入りまじった複雑な聞こえの環境では、この処理が困難となります。難聴により脳に届く音響情報が不足してしまい、その不足した部分を補って音の意味を理解しようと脳を懸命に働かせることとなり、脳に余分な負荷がかかります。そのため難聴者は疲れを感じ、人と交流する意欲を失い、周囲から距離を置こうとしてしまう可能性があります。

社会的に活動的であることが人を活発にさせ、認知能力の働きを促進させ、脳を健康に保ちその活動をより長く維持することにつながります。難聴者は、しばしば会話を聞き理解することに疲弊し、社会的な繋がりを保つことを億劫なものであるとし、これを避けがちになります。残念なことに、このようなことが社会的な引きこもりや孤立につながり、脳への刺激を不足させ、認知機能の低下を潜在的に加速させてしまうのです。

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オーティコン デンマーク本社のオーディオロジー主幹であるトーマス・ベーレンスは次のように述べています。「難聴は世界人口の5%に影響を及ぼしている健康状態です 。悲しいことに、多くの人々は難聴が健康全般に影響を及ぼす可能性に全く気付くことなく生活しているのです。家族との夕食や友人との外出は、脳を鍛える素晴らしい機会です。また、補聴器による助けは、難聴を抱える人が特に晩年で認知症を含む認知機能低下のリスクを低減する助けとなります。良好な聞こえは、社会との関わりを可能とするだけではなく、人生をより楽しいものにもしてくれます」

補聴器は聞こえの低下を補うとともに、社会との関わりを保つ重要な架け橋であるという想いから、オーティコン は先進補聴器シリーズとなるOticon Opn™(オーティコン オープン)を開発しました。これから来るべき将来の補聴器技術の先駆けといえるオープンは、脳が音の意味を理解する働きを助け、聞こえの悩みを持つ人々のコミュニケーションをサポートするとともに、これまで補聴器装用者にとって非常に困難であった騒がしい場所での会話にも積極的に参加できる補聴器です。オープンは脳への優しさが実証された初めての補聴器でもあり、レストラン、カフェ、バーといったいろいろな音が入り混じった場面でも再び快適な聞こえを体感できることで、日常生活での健全な人との関わりにより脳にとって重要な刺激を受け続けることが可能になります。

オーティコン は、世界アルツハイマーデーにおいて国際アルツハイマー協会が認知症に立ち向かうために力を結集するよう、人々に呼びかけていることに賛同いたします。一般に難聴者が自身の聞こえの問題に対処するまでに最長で10年かかるとされており、これがオーティコンが難聴に早期に取り組むことを望む理由です。補聴器の装用は結果としてQOL(生活の質)を向上させ、脳の健康をより長期にわたり維持するのに役立ちます。

オーティコン補聴器について

補聴器におけるパイオニアであるオーティコン社(Oticon A/S)は、ハンス・デマントにより1904 年にデンマークに創設されました。オーティコンは世界で唯一の慈善財団が所有する補聴器会社であり、ウィリアム・デマント・ホールディング社の傘下にあります。その日本法人としてオーティコン補聴器は1973年より日本市場における製品の製造・販売を行っています(https://www.oticon.co.jp)。オーティコンの企業理念「ピープル・ファースト」とは、「聞こえに悩む人々を第一に考え、彼らが自由に伝えあい、自然にふるまい、そして活動的に生活できるように力づける」という信念に基づきます。オーティコンは先進のノンリニア補聴器、フルデジタル補聴器および人工知能補聴器を開発し、業界のパイオニアとして革新的な技術を難聴者とともに開拓してきました。1977年には先進技術とオージオロジー(聴覚学)を研究するエリクスホルム研究所(デンマーク)を設立、世界中から参集した様々な分野の科学者と1,000人以上のテストユーザーと共に、将来の補聴器開発に取り組んでいます。オーティコンは世界各国で補聴器をはじめ、聴覚関連機器、医療機器の製造・販売を行っています。

本件に関するお問い合わせ
  • オーティコン補聴器:木下(PR)、林田(デジタルマーケティング)
  • TEL 044-543-0615/ FAX 044-543-0616/ E-mail info@oticon.co.jp