夏はもちろん、生涯にわたって音楽を愛し、そして安全に楽しむには?

09/06/22

夏が近づき、野外コンサートや音楽フェスなどは、大自然の中でライブを楽しめるのが醍醐味です。音楽を楽しみながら、大切な耳を守るために今すぐできるヒントをご紹介します。

わくわくする音楽イベントの前に、騒音性難聴から耳を守ることについて考える方はほとんどいないかもしれません。しかし、ライブハウスやコンサート会場などでの大音響、特に長時間にわたり大音量の音楽を聴くとは、耳鳴り、音響外傷や騒音性難聴を引き起こす可能性があります。実際治療がほとんど困難になるまで気づかないこともよくあります。ここでご紹介するのは、夏に向けて、大切な聞こえを守るためのヒント、さらに専門家の助けを求めるタイミングについてのアドバイスとなります。

◆ 大音量で音楽を聴くときは、耳を保護して現在の聴力を守りましょう。

  • 耳栓を使用する
    耳栓は正しく装着してください
  • 子供用の耳の保護具であるイヤーマフラーを使用する
    小さな耳には耳栓を正しく装着することが難しい場合があります
  • 大音量のライブなどでは、スピーカーなどの音源から距離を保つ
  • 音量を測定するスマートフォンのアプリを使用する
    音が大きすぎる、また聞くことに疲れを感じたならば思い切ってその場所を離れましょう

「毎年、音楽祭や野外イベントなど大音量の音楽で多くの耳が傷ついています」と、オーティコン デンマーク本社でオージオロジー担当バイスプレジデントを務める、トーマス・ベーレンスは述べます。「音楽はある一定の音量に達すると、聴覚システム(聞くために必要な器官)の一部に永続的な損傷を与える可能性があります。コンサートや音楽フェスなどに頻繁に参加する人の中には、聴覚障害の影響を受けている人が一定数いると思われますが、中にはかなり後になって初めて自分の耳の症状について認識する人もいるかもしれません。最近、私たちは、大きな騒音にさらされることによって引き起こされる初期の損傷が、聴覚専門家による聴力測定や医師による聴力検査で検出されない可能性があることを報告しました。この「隠れ難聴」は専門家でも時に気づかない時があり、診断がつく頃には、引き起こされたダメージを身体が修復することができず、治療が非常に困難になることがあるのです。」

音楽には様々なジャンルがありますが、時にロックンロールを愛する人々の多くでは、何十年にわたり音量が大きければ大きいほど、より良い音楽体験ができると考えられていました。そして、バンドはその期待に応えようと音量を競いました。1970年代、米国で開催されたロックフェスのウッドストックに出演していた英国のバンド「The Who」は、126デシベルの大音量でライブを行い、一時期世界一の大音量バンドと認定されたことがあります。しかし、その記録は破られ、現在では実際140デシベルの大音量でライブを行っているバンドもあります。140デシベルとは、人間が聞くことができる最大音量ともされ、飛行機のジェット音に相当する爆音です。いうまでもなく安全に聴くことができる閾値をはるかに超えるものですii

現在音楽祭やライブコンサートで、種々の基準に沿って環境騒音などの面から最大音量への配慮がなされているイベントも増えていますi。一方でこのようなイベントでは、音楽だけでなく聴衆が集うことでの騒音も考慮すると、想定された音量を超えてしまうことがよくあります。音量が大きければ大きいほど、聴力障害につながるまでの時間は短くなります。難聴を生じる可能性には個人差があり、大音量の爆音にさらされてから聴力にダメージを受けるまでの時間はさまざまですが、70dB以上の騒音が長時間続くと、聴力にダメージを与え始める可能性があります。一般に安全に聞くことができるとされるのは85dB以下とされ、120dBでは耳に痛みを感じはじめます。これほどの騒音レベルであれば5分以内にある程度の難聴を引き起こす可能性があり、耳の痛みや後遺症の原因となることもあります。実際コンサート会場の音量が97dBならば、その音に耳をさらすのは30分以内、100dBならば15分までに抑えるべきなのですii

「音楽フェスなどに参加した後、耳鳴りを感じる、耳がよく聞こえないという経験をすることがあるかもしれません。これは、大音量の音楽と大きな騒音レベルに対する自然な反応です。ただコンサートから1日経ってもこれらの症状が続くようであれば、耳鼻科医や聴覚専門医を受診し、適切な処置をしてもらうことを強くお勧めします。騒音性の難聴は、私たちが予防できる唯一の難聴です、だからこそ予防のための手段を講じるべきです」とトーマス・ベーレンスは結んでいます。

この夏も来年もそして長くに渡って音楽の喜びを変わらず楽しんでいただくために、音楽に没頭する際には、その音の大きさにも耳を傾けていただければと思います。

◆ 大きすぎる音とそれにより損傷を受ける耳の有毛細胞について動画でもご紹介

※ それぞれのサムネイル画像をクリックすると動画をご覧いただけます。

【2分で分かる聞こえの真実】
耳の有毛細胞って?

whd_whf_episode2-jp-593x334
【2分で分かる聞こえの真実】
大きすぎる音ってどれくらい?

whd_whf_episode3-jp-593x334

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【参考文献】

i 騒音規制法/環境省

ii 米国疾病予防管理センター「What noise cause Hearing Loss」

【本件に関するお問い合わせ先】

オーティコン補聴器 (デジタルマーケティング:林田、プロダクトマネジメント:渋谷)
TEL:044-543-0615 FAX:044-543-0616 E-mail:info@oticon.co.jp